【薬に頼らない治療】ナチュラル心療内科のブログ

三ノ宮駅から徒歩5分 ナチュラル心療内科クリニックのブログです。

心拍変動と共振呼吸数

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リラックス状態では呼吸に合わせて心拍数が変化しますが、この変化量が大きいほど環境への適応力が高いと言えます。例えば心拍数が呼気時には60回/分まで下がり吸気時には90回/分にまで上がる場合、30回/分の幅で心拍数を変化させることができるということになります。これは、車でいうならアクセルを踏み込めば時速180kmまでスピードが出て坂道も難なく上ることができ、信号待ちではエンジンの回転数を十分下げることができるということになります。

一方、心拍変動の幅が70~80回/分と1分間に10回程度しか変化しない場合は、アクセルを踏み込んでも時速100km程度で坂道を上ることはできず、信号待ちでもアクセルを踏み込んだ空ぶかし状態のようなものです。このように、運動や仕事中は必要とするエネルギー量は増えるため心拍数や血圧を上げ、夜間や休息時にはエネルギーを再生するために必要以上にエネルギーを消耗しないように自動的に調整されています。

この心拍変動の幅は加齢と共に減少していきます。また、ストレス状態が続いている時には幅が少なくて一定しない不安定な変動になってしまいます。この心拍変動の幅が最も大きくなる呼吸数は、1分間に6回前後で共振呼吸数(Resonance Frequency)と言われ、心拍変動バイオフィードバックではこの共振呼吸数を自分自身で見つけて安静時にはこの呼吸パターンが習慣化するようトレーニングしていくのです。

呼吸法と心拍変動バイオフィードバック

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緊張している時に大きく深呼吸をすると気持ちが落ち着くという経験は誰でもあるかと思います。これは、リラックスモードの副交感神経が働くことによります。息を吸う時には交感神経系優位となり心拍は速くなり、息を吐く時には副交感神経系優位となるため心拍は遅くなります。この呼吸性の心拍変動は生理的な変化で、安静状態でゆっくりとした呼吸(特に腹式呼吸)をしている時に認められます。

この心拍変動を使ったバイオフィードバックは、呼吸法の練習として用いられています。指先や耳たぶで脈波を測定することで自分の心拍変動をリアルタイムでモニターし、ゆっくりと腹式呼吸をしながら一貫性のある振れ幅の大きい心拍変動となるようトレーニングします。PCやタブレット端末を使った心拍変動バイオフィードバック装置もありますが、最近ではスマホのカメラとフラッシュライトで指先の脈波を測定するアプリもあります。

臨床的には、一貫性(コヒーレンス)があり大きく変動(共振)している心拍変動パターンであれば、自律神経バランスが良好で様々な症状や病状の改善に有効であるという多くの研究報告があります。また、ストレスに対する抵抗力(レジリエンス)を高めることができるため、アスリートのメンタルトレーニングにも用いられています。環境への柔軟な心身の適応能力を高めるトレーニング法として、今後さらに広がっていくことでしょう。

呼吸とストレス

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普段意識することなく自然に呼吸をしているのですが、その呼吸の深さや速さは自律神経系で自動的に調整されています。通常安静時の呼吸数は、健康成人で1分間に約12~20回(高齢者:約10~30回)ですが、ストレス時には一瞬止まってしまったり速くなったりと変化します。「息を呑む」「息を潜める」といった文字通りに、心の状態で呼吸パターンが変わってしまうのです。

この呼吸パターンの変化は通常は無意識に起こっており、短期間でそのストレス状況が終わってしまう場合には、その変化に気付くことなく元の安静状態に自然に戻ります。一般的に、不安やストレスを感じている時には浅くて速い呼吸パターンになります。また何かに集中している最中には、ほとんど息をしていないこともあります。これらの変化が長期間続くと、呼吸パターンもその状態をいつまでも持続してしまいます。

内臓の働きは自律神経系で自動制御されているので通常は自分でコントロールすることはできません。しかし呼吸だけは例外で自分でも変化させることができます。これは、胃腸・血管・子宮(平滑筋)や心臓(心筋)など内臓の筋肉と異なり、呼吸は身体を動かしたり姿勢を維持したりする骨格筋(呼吸筋群)の働きだからです。そのため、同じ呼吸パターンが長期間続くことで、スポーツや習い事と同様に呼吸筋群はその動きを 学習してしまうのです。

筋電図バイオフィードバック

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無意識に筋緊張状態になっている場合、自分自身では筋肉に力が入っていることがわかっていません。そのため一日中その状態が続いたり、特定の条件下で筋肉の過緊張が繰り返し起こったりしてしまいます。この無意識下の学習された不適切な筋緊張状態に気付くことで、この状態を改善することができます。筋電図バイオフィードバックは、自分の筋緊張状態を確認しながら自己制御できるようにトレーニングしていく方法です。

臨床応用としては、筋緊張が原因となっている症状や病気(肩こり、緊張型頭痛、痙性斜頚、書痙、便秘など)、筋弛緩状態が原因となっている症状や病気(尿・便失禁、脳血管障害後の麻痺など)、リラクセーション法、スポーツ選手のパフォーマンストレーニングなどがあります。欧米では、理学療法士によるリハビリテーションや看護師による失禁治療として、ポータブルタイプの筋電図バイオフィードバック装置が使用されています。

また、自分自身の身体への気づきを促す手段としても筋電図バイオフィードバックは効果的です。無意識の筋緊張に気付くということ以外にも、ほんの少しだけ力を入れたつもりでも実際には筋肉に力が入りすぎているということを確認することで、筋緊張状態と自分の感覚を一致させていく練習もできます。漸進的筋弛緩法と筋電図バイオフィードバックを組み合わせると、さらに効果的なリラクセーションも可能となります。