【薬に頼らない治療】ナチュラル心療内科のブログ

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防御反応としての症状の役割

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今この瞬間の現実の出来事ではない脳内の仮想現実世界にも、自律神経系・内分泌系・免疫系といった心身の調整システムは反応します。そのため、ストレス状況から離れた後もずっと交感神経過緊張状態の心身の防衛反応は続いてしまうのです。その結果、不眠、不安、緊張といった症状が続きエネルギーを消耗してしまい、最終的にはうつ状態といったバッテリー切れ状態になってしまいます。

慢性的なストレスが続いたり非常に強いストレス状況を体験したりすることで、この闘争・逃走反応に必要な交感神経系優位な自律神経の神経ネットワークを使い続けることになります。そして神経可塑性という神経細胞の特徴により、日常的に絶えず闘争・逃走反応の準備状態としての交感神経系優位状態が学習されてしまい、睡眠障害、不安障害、頭痛、高血圧などの様々な症状やストレス関連の心身の病気が引き起こされます。

病気の初期症状は、動物としての様々なストレスへの正常な防御反応が原因の一つとして関わっていると考えられます。特にヒトにおいては、自然環境の変化だけでなく人間関係というストレスの影響が大きく、これらのストレスに日々どのように対処していくかが重要な鍵となります。原因不明の症状は、ストレスへの対処が必要な状態だということを本人に伝えるための警報アラームとしての役割を持っているとも言えるのです。

防御のための第2の選択肢:闘争・逃走反応

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社会(交流)神経系による最初の生存戦略が上手くいかなかった場合、二番目の交感神経系による防衛反応の出番となります。脳の中では警報アラームが鳴り、心と身体は身を守るための臨戦態勢の準備を始めます。危険を早期にキャッチするため過覚醒による感覚過敏状態となり、不安・緊張感を高めることで絶えず周囲を警戒し始めます。いざという時に瞬時に行動することができるように、交感神経系が働き身を守るための準備をするのです。

1929年にキャノンにより初めて提唱された「闘争・逃走反応fight and flight」という交感神経の過緊張状態により、心拍数を増やし血圧を上げ闘ったり逃げたりするために必要なエネルギーを筋肉や脳に供給することになります。同時に副腎からストレスホルモンのコルチゾールやアドレナリンなどが分泌され、血糖値を上げストレス状況から身を守るために必要なエネルギーの材料を補給します。

自然界の動物における「闘争・逃走反応」は、ほとんどの場合短時間で終わります。無事身を守ることができれば交感神経系優位の防衛反応は終了し、消耗したエネルギーを再生するために副交感神経優位の状態に切り替わり、再びゆっくりと休んだり熟睡したりすることができるようになるのです。しかし人間の場合は大脳皮質の発達により過去を思い出したり未来を心配したりすることができるため、いつまでも交感神経系優位な状態が続いてしまいます。

社会(交流)神経系(Social engagement system)

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人も含めた哺乳動物は、離れた距離から五感を通じて安全を確かめながら相手に次第に近づくことで社会的な交流を持ち、ストレス状況を早期に解決しておくという生存戦略を取っています。そのために必要な身体の反応は、鼓膜の振動を音に変換する中耳の筋肉、声を出すための声帯、食べ物を飲み込む嚥下や味覚、頭を動かすといった頭頚部の筋肉や感覚器官が主役となります。

これらのコミュニケーションに必要な神経システムが、脳神経の中でも有髄神経である腹側迷走神経、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、副神経であり、ポージェスは「社会(交流)神経系」という新しい概念で説明しています。哺乳類は生まれてから母乳により育てられます。生まれたばかりの子供が母親からの養育を受けるための生存戦略として、この社会(交流)神経系が重要な役割を果たすことになります。

哺乳類は母親の注意を引き母乳を与えてもらいながら、生きていくための他者との関わり方を学習し成長することで、安全で安心できる環境を集団の中に築き上げているのです。人間の場合も同様で、まずは母子関係から始まり、家族、学校、会社と次第に大きな集団に適応していく中で社会(交流)神経系も成長発達していくことになります。そのため幼小児期の生育環境が、その後の人生の心身の健康状態に大きく影響することになるのです。

社会的交流という生存戦略

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ポリヴェーガル理論によると、ストレス(環境)への反応方法の優先順位は、系統発生学的により新しい自律神経システムから順番に使われます。自律神経系の基本的な役割は、動物が環境に適応しながら生存していくための全自動操縦を24時間休むことなく行うことです。 全ての地球上の生物は共生関係にあり、特に動植物は食物連鎖という宿命から逃れることができず、自律神経も身の安全が最優先課題となります。

進化の過程で最も新しい社会的交流のための神経システムは、群れを作る哺乳類で発達しました。自然界での生存戦略として、哺乳類はお互いにコミュニケーションを取ることで安全で安心できる環境を確保してきたのです。そのために必要な言語や表情、感情のコントロールに関係する脳や筋肉の働きも、それに伴って進化してきたことになります。自律神経においては、有髄の腹側迷走神経が重要な役割を果たしています。

人間社会においても、まず相手を理解しようとすることからコミュニケーションが始まり、必要な情報収集のために五感をフルに動員することになります。そこで、相手が自分にとって安全で安心できる人間であるかを判断する手がかりとなるのが、声の調子や大きさ、表情や仕草、姿勢や行動、服装など身だしなみといった視覚や聴覚からの情報です。さらに嗅覚や味覚も共に食事をするなどの行動や体臭を通じて判断材料となります。最終的には触れるという触覚も使い安全・安心を確認し社会的な繋がりを形作っているのです。