【薬に頼らない治療】ナチュラル心療内科のブログ

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筋緊張とストレス

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ストレスによる身体の反応の一つとして筋緊張があります。突然の地震や大きな爆発音などで驚いた時に、誰でも一瞬「首をすくめる」という状態になります。実際その瞬間には、両肩を上げ首を身体に押しつけ背中を丸める姿勢を反射的にしています。これは急所である頚部を守るための正常な反応で誰にでも起こります。この時、肩と頚部の筋肉は瞬時に緊張した状態になっています。

自然界におけるストレス状況では、このようなストレス反応は短時間で終わってしまうことが多いので、身体の自律神経システムもすぐに回復することができ筋緊張が持続することもありません。ところが人間の世界では、自然界のような今この瞬間のストレスだけではなく、頭の中で考えている過去や未来の出来事に対してもストレス反応を起こしてしまうため、いつまでも筋緊張が続くということが起こってしまうのです。

スポーツのトレーニングと同じように、毎日同じ筋肉の使い方を繰り返すことで脳はそのパターンを学習してしまします。ストレスだけでなく、身体の姿勢や動かし方も毎日繰り返すことにより筋緊張状態が持続してしまい、その結果として肩こりや緊張型頭痛などのさまざまな症状が引き起こされます。このように、人間社会では無意識に心身が緊張してしまうことが多く、意識的に緊張を緩める習慣を身につけることが重要となります。

SC(皮膚コンダクタンス)バイオフィードバック

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ストレスに対する皮膚温の変化が緩やかなのに対して、手の汗を間接的に評価する皮膚コンダクタンス(SC)は交感神経の働きにより数秒単位で即時に変化します。そのため、交感神経の過緊張状態をリアルタイムでセルフコントロールするためのバイオフィードバックトレーニングとして応用されています。SC測定結果を瞬時に知ることで、ストレス・覚醒レベル・感情の状態を自らコントロールできるようになるのです。

臨床応用としては、不安・緊張・過覚醒の軽減、本態性高血圧や過敏性腸症候群などのストレス関連疾患(心身症)、多汗症、ADHD、乗り物酔いなどの交感神経過緊張状態が影響している症状や病気において有効性が報告されています。また、リラクセーション法や他の心理療法と組み合わせることで、身体感覚への気づきを促し治療効果を高めることもできます。

また、スポーツ選手のメンタルトレーニングとしてもSCバイオフィードバックは以前より用いられています。音のフィードバックを使ったポータブルのSCバイオフィードバックトレーニング装置(GSR2)は、私が大学生の時に初めて購入したBF装置で、約40年昔から全く同じ卵型デザインの商品が販売されています。現在もネットで購入でき、小型で携帯できるためアスリートのトレーニングツールとしても最適です。

手の汗とストレス

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緊張すると、“手に汗を握る”という言葉通り手掌発汗が起こります。これは自律神経の交感神経の働きで、ストレスに対する自然な正常反応として手掌と足底でみられます。何故手に汗をかくのかという理由は、闘うか逃げるかといった自然界でのストレス状況下では、木によじ登ったり武器を手にしたりすることが多く、その時に手掌や足底が乾いていると滑ってしまい、しっかりと握ることができないからと言われています。

発汗には温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗の3種類があります。この中でストレスの影響を受けるのが精神性発汗です。この時の発汗量を間接的に測定する方法として皮膚電気活動があり、刺激から約2秒後に反応が始まります。警察で使われるポリグラフ(うそ発見器)でも皮膚電気活動は測定され、精神的な動揺を示す身体の生理学的指標として評価されています。

皮膚電気活動は、昔GSR(galvanic skin reflex)と言われていましたが現在はこの表現は使われず、皮膚コンダクタンス(skin conductance change: SCC)が測定されることが多いためSCとも言われます。ストレス刺激で生じた手掌の発汗に伴う電気的変化は通常は数分以内に回復していきます。しかし緊張が強いと、さらに発汗が促され回復に時間がかかってしまったり、逆にストレス刺激に全く反応しないこともあります。

皮膚温バイオフィードバック

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自律神経の働きで末梢血流量が増減し、その結果皮膚温が変化するということを利用した皮膚温バイオフィードバックという方法があります。これは指先などの皮膚温を測定しながら、自分自身でその温度を自由に上げ下げできるようにトレーニングすることで、症状緩和やリラクセーションを促す方法です。1960年代に米国のメニンガー研究所のエルマー・グリーン博士らにより、ヨーガや自律訓練法などを取り入れながら実験が繰り返されたのが始まりと言われています。

グリーン博士らはインドのヨーガ行者が、温度差が5.5℃になるまで手掌の皮膚温を上昇させると同時に手背の皮膚温を低下させることができることを1977年に報告しています。また、エリック・ペパー博士らは誘導イメージを使った皮膚温バイオフィードバック訓練で、平均3℃末梢皮膚温を上昇させることができたと2003年に報告しています。その他にも外傷後の治癒プロセスが皮膚温バイオフィードバックで局所の血流量を増やすことで促されたという研究報告もあります。

臨床応用としては、リラクセーションの一技法としてだけでなく、末梢血管を直接拡張させることで頭痛・関節炎の疼痛・糖尿病による足の潰瘍・月経困難症・高血圧・レイノー病など、さまざまな症状や病態を自ら改善させることができたという数多くの研究結果が報告されています。皮膚温バイオフィードバックは、認知行動療法、誘導イメージ法、催眠、瞑想、自律訓練法など他の心理療法やリラクセーション法と組み合わせて行うことが一般的で、それにより相乗効果を上げることができます。

手の温度とストレス

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自律神経のストレス反応の一つとして手の末梢皮膚温の低下があります。手の表面温度は、皮膚のすぐ下を流れている血液量で決まります。平滑筋でできている毛髪より細い毛細血管が網の目のように皮膚直下を流れており、十分にリラックスした副交感神経優位の状態では、この毛細血管は拡張し温かい血液が十分量流れているため、ほぼ体温と同じぐらいの手の温度となります。

一方、寒冷刺激やストレス状況下では交感神経系優位となり、皮膚末梢の毛細血管は収縮し血液量も減ります。そのため、手の温度も低く皮膚の色も赤みがなく白っぽくなってしまいます。これは、体表面の血液量を減らすことで体温を下げないようにしたり、闘うか逃げるかといったストレス状況下での外傷による出血を防ぐために、自律神経が自動的に調節していることによります。

寒冷刺激がないのに手が冷たくなっている状態は、自分自身ではストレスを全く感じていなくても身体がストレス反応を起こしているということになります。日頃から手の温度を測定して、どのような時に冷たくなっているのか、またはどのような時に温かいのかを知っておくことが、ストレスのセルフケアとして役立ちます。簡単な温度計や熱帯魚水槽の温度計、持続測定モード付き電子体温計などを使ってチェックしてみましょう。