【薬に頼らない治療】ナチュラル心療内科のブログ

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手の汗とストレス

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緊張すると、“手に汗を握る”という言葉通り手掌発汗が起こります。これは自律神経の交感神経の働きで、ストレスに対する自然な正常反応として手掌と足底でみられます。何故手に汗をかくのかという理由は、闘うか逃げるかといった自然界でのストレス状況下では、木によじ登ったり武器を手にしたりすることが多く、その時に手掌や足底が乾いていると滑ってしまい、しっかりと握ることができないからと言われています。

発汗には温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗の3種類があります。この中でストレスの影響を受けるのが精神性発汗です。この時の発汗量を間接的に測定する方法として皮膚電気活動があり、刺激から約2秒後に反応が始まります。警察で使われるポリグラフ(うそ発見器)でも皮膚電気活動は測定され、精神的な動揺を示す身体の生理学的指標として評価されています。

皮膚電気活動は、昔GSR(galvanic skin reflex)と言われていましたが現在はこの表現は使われず、皮膚コンダクタンス(skin conductance change: SCC)が測定されることが多いためSCとも言われます。ストレス刺激で生じた手掌の発汗に伴う電気的変化は通常は数分以内に回復していきます。しかし緊張が強いと、さらに発汗が促され回復に時間がかかってしまったり、逆にストレス刺激に全く反応しないこともあります。

皮膚温バイオフィードバック

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自律神経の働きで末梢血流量が増減し、その結果皮膚温が変化するということを利用した皮膚温バイオフィードバックという方法があります。これは指先などの皮膚温を測定しながら、自分自身でその温度を自由に上げ下げできるようにトレーニングすることで、症状緩和やリラクセーションを促す方法です。1960年代に米国のメニンガー研究所のエルマー・グリーン博士らにより、ヨーガや自律訓練法などを取り入れながら実験が繰り返されたのが始まりと言われています。

グリーン博士らはインドのヨーガ行者が、温度差が5.5℃になるまで手掌の皮膚温を上昇させると同時に手背の皮膚温を低下させることができることを1977年に報告しています。また、エリック・ペパー博士らは誘導イメージを使った皮膚温バイオフィードバック訓練で、平均3℃末梢皮膚温を上昇させることができたと2003年に報告しています。その他にも外傷後の治癒プロセスが皮膚温バイオフィードバックで局所の血流量を増やすことで促されたという研究報告もあります。

臨床応用としては、リラクセーションの一技法としてだけでなく、末梢血管を直接拡張させることで頭痛・関節炎の疼痛・糖尿病による足の潰瘍・月経困難症・高血圧・レイノー病など、さまざまな症状や病態を自ら改善させることができたという数多くの研究結果が報告されています。皮膚温バイオフィードバックは、認知行動療法、誘導イメージ法、催眠、瞑想、自律訓練法など他の心理療法やリラクセーション法と組み合わせて行うことが一般的で、それにより相乗効果を上げることができます。

手の温度とストレス

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自律神経のストレス反応の一つとして手の末梢皮膚温の低下があります。手の表面温度は、皮膚のすぐ下を流れている血液量で決まります。平滑筋でできている毛髪より細い毛細血管が網の目のように皮膚直下を流れており、十分にリラックスした副交感神経優位の状態では、この毛細血管は拡張し温かい血液が十分量流れているため、ほぼ体温と同じぐらいの手の温度となります。

一方、寒冷刺激やストレス状況下では交感神経系優位となり、皮膚末梢の毛細血管は収縮し血液量も減ります。そのため、手の温度も低く皮膚の色も赤みがなく白っぽくなってしまいます。これは、体表面の血液量を減らすことで体温を下げないようにしたり、闘うか逃げるかといったストレス状況下での外傷による出血を防ぐために、自律神経が自動的に調節していることによります。

寒冷刺激がないのに手が冷たくなっている状態は、自分自身ではストレスを全く感じていなくても身体がストレス反応を起こしているということになります。日頃から手の温度を測定して、どのような時に冷たくなっているのか、またはどのような時に温かいのかを知っておくことが、ストレスのセルフケアとして役立ちます。簡単な温度計や熱帯魚水槽の温度計、持続測定モード付き電子体温計などを使ってチェックしてみましょう。