【薬に頼らない治療】ナチュラル心療内科のブログ

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安全で安心できる世界

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環境に適応しながら地球上で生存していくための全自動操縦システムが自律神経系・内分泌系・免疫系といった調整系であり、相互に影響を及ぼし合いながら機能しています。この中でも自律神経系は学習するという神経細胞の性質があるため、どのような環境で育ち生活してきたかということが、今現在の自律神経の働きに大きく影響しています。この学習は生まれた瞬間からスタートするので、子供の頃の環境が重要となります。

人が認識する「世界」の範囲は年齢と共に大きく広がっていきます。生後間もない乳児にとっては、「世界」は眼前の人の顔や景色や音などであり自分自身で選択することはできません。その後成長していく過程においても、子供の間は「世界」は自宅や幼稚園や学校といった限られた場所での体験が中心となります。自律神経系も、その時々の環境に適応するべく学習しながら発達してきます。

両親からの絶対的信頼感を感じることで形成されるベーシックトラスト(基本的信頼)は、「世界」は安全で安心できると感じることで安定した自律神経系の発達を促します。しかし、両親の不仲や暴言・暴力などが日常である環境の中では、「世界」は危険で怖い場所であり、身を守るために絶えず緊張状態を維持しなければならないと脳が判断し、自律神経系も「闘うか逃げるか」といった交感神経優位な状態を学習してしまいます。

Zoomという絵本

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ハンガリーの絵本作家イシュトバン・バンニャイによるZoom(ズーム)という絵本があります。この絵本は、ニワトリの鶏冠の一部の絵から始まり、最後は宇宙に浮かぶ小さな点のような地球の絵で終わっています。 最初に出てきた鶏冠の一部は、ヒトデや火山の噴火など、人によって全く別のモノに見えてしまいます。その1枚の絵しか見ていなければ、それがあたかもすべてであるかのような気になってしまいますが、視点をどんどん引いていくと、次々と別の絵の一部であるということに気づきます。

世の中で起こっているあらゆる出来事は、この絵本のように一部だけを見ているだけでは理解することはできません。物事を様々な視点から眺めることができる柔軟な発想のためには、意識を拡大させる必要があります。私たちは各自の意識のフィルターを通じて理解して創り上げているそれぞれの世界を見ているに過ぎません。 そのことを直観的に理解するために、この絵本はとても素晴らしい教材となります。

鶏冠の一部だけを見て、その角度や長さがどうかということを議論しても、それは本質からは遠く離れたことであるということが、この絵本を見ることですんなりと納得できてしまうことでしょう。「私たちが直面する重大な問題は、その問題が生じたときと同じ考え方をしていたのでは解決できない」というアインシュタインの言葉があります。さまざまな問題が起こっている今の時代は、従来の枠を一旦取り払い、全体を俯瞰できるより広い意識を持つことが求められているのかもしれません。

相手の世界地図を理解する

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世の中で起こっている出来事自体は基本的に中立(ニュートラル)であり、本来特定の意味は持ち合わせていません。それを体験している人間が、そこに自分なりの意味づけをしたり世の中を解釈したりして現実の世界を創っているのです。同じ体験をしていても、それぞれの価値観や考え方というフィルターを通して情報が入ってくるため、10人いれば10通りの異なった世界を見ていることになります。

人と人がお互いを理解し合うことが難しいのは、例え同じ言葉を話し同じ生活をしていても、その解釈の仕方が違っていると全く別の世界をお互いが見ていることになるからなのです。ましてや異なった文化・言語の国や民族同士においては、お互いが相手を理解しようという弛まぬ努力をし続けることなしには、不安や恐怖、不信感などの感情により引き起こされている、現在の緊張した国際情勢や紛争を解決することはできないでしょう。

人は皆、異なった自分専用の地図を見ながら人生を歩んでいます。例えば、日本の世界地図を見ている人にとってアメリカは世界の東にあると考えているのに対して、イギリスの世界地図を見ている人はアメリカは世界の西にあると主張するということが起こっているのです。大事なのは、相手がどのような地図で世界を見ているのかということを理解し、それを尊重しながら自分の地図についても相手に分かってもらう努力を続けることではないかと思います。

ミラクル・クエスチョン

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「望まない状況を避ける」という考え方ではなく「望む状況を選択する」という話しを以前にしたかと思いますが、この場合の望まない状況は必ずしもネガティブな感情を伴うとは限りません。また望む状況もポジティブな感情を伴わないこともあります。無意識下の「青写真」が怒りや悲しみなどの感情であれば、本人が気付いていないだけで実はその感情を感じることを望んでいるのかもしれません。

このような場合、その「青写真」の存在に気付いて変えてしまうことができます。例えば、解決思考アプローチという心理療法の中で使われるミラクル・クエスチョンという手法があります。これは、「奇跡が起こり、あなたの問題がすべて解決したとします。その場合、あなたはその奇跡が起こったことをどんなことから気付きますか?」という質問を投げかけて、問題解決後の状況を具体的にイメージしてもらう方法です。

これを自分自身で行う場合、心身が十分リラックスした状態でイメージを思い浮かべる練習の中で実践するといいでしょう。就寝前などの落ち着いた状態で呼吸法などのリラクセーション法を行った後に、奇跡が起こって全てが解決した一日を、朝起床してから夜眠るまで時系列に従って順番に思い浮かべていきます。感情も伴いながら、できるだけリアルにイメージしていくことで「青写真」を書き換えていくことができるのです。

思考/感情が現実を創る

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人は脳という超スーパーコンピュータのプログラムに従って生きています。このプログラムは、五感と身体感覚という入力デバイスから入ってくる情報やデータを自動的に取捨選択しています。その時々にどのようなことを考えたり感じたりしているかにより、脳はそれに関連する情報を選択して処理しているのです。そのため、日々の生活で体験する膨大な情報量のごく一部しか、脳は認識していないことになります。

五感を通じて脳に入ってくる情報の中から、その時に意識していることや無意識下にある「青写真」に関係するデータを自動的に収集しているので、辛い症状や嫌なことや自己否定的なことを考えたりしていると、そのことに関連する情報を脳は五感を通じて意識的/無意識的に取り込みます。その結果、「青写真」の内容が現実にも起こっていると考えるようになってしまいます。思考が現実を創り上げているとも言えるでしょう。

喜怒哀楽といった感情も脳の働きの一部と考えると、「特定の感情」をいつも感じるような生活を続けていることで、その「青写真」が脳の中にデータとして無意識下に記録されます。その結果、その感情を感じるような日常の出来事についてのデータを脳は選択して取り込むようになり、同じような感情や状況をさらに繰り返し体験するような行動を無意識にとってしまいます。この場合、感情が現実を創っていることになります。

イメージの条件付け

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ポジティブな考えやイメージは、心と身体がリラックスして落ち着いている時に出てきやすいのに対して、ネガティブな考えやイメージは、心と身体が緊張している時に出てきやすい傾向があります。「望まない状況を避ける」という考え方ではなく「望む状況を選択する」考え方に変えるためには、このポジティブな考えやイメージが出てきやすいリラックスした心身の状態にしておくことが重要です。

そのための方法として、呼吸法や自律訓練法、筋弛緩法などのさまざまなリラクセーション法が効果的です。これらの練習を続けることにより自分自身で十分リラックス状態にすることができれば、次にイメージの練習をしていきます。まず最初は、自分が好きな風景などをリラックス状態で思い浮かべる練習をします。呼吸法や自律訓練法などのリラクセーション法にイメージ練習を組み合わせるのです。

自律神経系を中心とした心身のリラクセーション反応とポジティブなイメージを同時に体験することを続けることで、この両者は条件付けされていきます。例えば、呼吸法をすればポジティブなイメージが浮かびやすくなり、逆にポジティブなイメージが浮かべば心身のリラクセーション反応が起こるようになります。このように、ネガティブな条件付けの結果としてのストレス関連症状を、ポジティブなイメージで再条件付けしていくことができます。

環境が脳を変える

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痛みや症状が長期間続けば続くほど、脳コンピュータの神経ネットワークはそのパターンを日常生活で五感から入ってくる外部情報と関連づけて学習し続けることになります。職場や家庭での人間関係や仕事のストレスと痛みや症状が条件付けされた形で、脳コンピュータのデータベースにどんどん記録されているのです。その結果、日々の生活体験そのものが痛みや症状を自動的に引き起こし続けることになってしまいます。

パソコンで毎日同じプログラムを立ち上げて同じデータを入力し続ける限り出てくる結果は同じです。もし異なった結果を望むのであれば、普段と違うデータを入力し異なったプログラムを立ち上げる必要があります。脳コンピュータも同じで、日常生活に変化がなければ結果としての症状も変わらない状態が続きます。もし痛みや症状を無くしたいのであれば、異なった日常生活体験をすることが重要となります。

昔ながらの温泉湯治や転地療法といった方法は、環境を変えることで脳コンピュータの再プログラミングをしているようなものです。朝起きた瞬間から見える景色が違います。聞こえてくる音や香り、料理の味、温泉に入ることによる皮膚感覚といった五感、ゆっくりと散歩することによる身体感覚など普段と異なる情報が脳コンピュータに自動的に入力されます。その結果、心地良さを感じるプログラムを起動することができれば、それまでの痛みや症状が出るというプログラムを使う機会は減っていくことでしょう。

健康な自己イメージ

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慢性の痛みや症状がある人の場合も、シロクマの実験と同じような現象が脳の中で起こっていると考えられます。「この痛み(症状)さえ治ったら・・・」「この痛み(症状)を何とかしたい!」と、長年悩まされ続けている痛みや症状についての感覚やイメージがまず頭の中に浮かび、それを何とか解決したいと考え意識することになります。その結果、痛みや症状に伴う自律神経系などの身体反応も自動的に引き起こされてしまいます。

決して望んではいないにもかかわらず、意識すればするほど逆に痛みや症状をより強く感じ、いつまでも治らないということが起こってしまうのです。これを解決するためには、最初から望む状態を直接考えたりイメージしたりすることが有効です。すなわち、「望まないことをしない(避ける)」といぅ否定型ではなく、「望むことをする(選択する)」という肯定型で考える(イメージする)習慣を身につける練習をしていくのです。

「もし今の痛み(症状)が完全に治って何でも好きなことが自由にできるという状況になったら、毎日どんな気持ちでどんなことをして暮らしていますか?」という質問を慢性の痛みや症状がある患者さんにしたときに、具体的なイメージが全く浮かんでこないということをよく経験いたします。これは、痛みや症状が生活の中心になってしまった結果、健康な時の自己イメージがわからなくなってしまっている状態と言えます。

シロクマの実験

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痛みなどの症状や心身のストレス反応を伴ったトラウマ記憶のデータベースを書き換えることが、慢性疼痛などの根本治療となります。再プログラムの手段としては、脳コンピュータの入力デバイスとしての五感や身体感覚を使って書き換える方法と、思考パターンを変える方法があります。前者については、これまでのブログでご紹介してきましたので、これから後者についても少しお話していきたいと思います。

最初に簡単な思考実験をしてみましょう。誰でも動物園や写真などでシロクマを見たことがあるかと思います。今から1分間、そのシロクマの姿を絶対に思い浮かべないようにしてみてください。・・・いかがでしたか?
おそらくシロクマの姿がまず頭の中にでてきたのではないでしょうか。これは、1987年に米国の心理学者のWegnerが行った「シロクマの実験」内容を、分かりやすく簡単に体験できるよう少し変えたものです。

脳コンピュータは、データ入力された順番に仕事をしていくという特徴があります。望む望まないにかかわらず、最初に考えたことから順番に処理していこうとするので、まずシロクマのイメージが頭の中に浮かび、それを思い浮かべないようにしようと努力することになります。結果的に、頭の中はシロクマだらけになってしまうという矛盾した状況が起こってしまうのです。

慢性の痛み(症状)は心の痛み?

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「この痛み(症状)さえ治ったら・・・」「この痛み(症状)を何とかしたい!」という言葉を患者さんからよく聞きます。特に原因不明の痛み(症状)が長年続いている場合には病院を何カ所も受診し、日常生活にも支障がでて精神的にも不安や落ち込みなどの症状が多くなります。通常の対症療法の診療では、鎮痛薬・抗不安薬・抗うつ薬などの薬物療法が中心のため、患者さんの症状が自然に治まるまで通院し続けることになります。

このような原因不明の長く続いている身体の症状の治療においては、発症要因と持続要因とに分けて考える必要があります。最初に症状が出たときの原因と、その後その症状が持続している原因は異なっています。例えば事故などで怪我をした場合、傷つけられた細胞や炎症部位に集まってくる白血球などの炎症細胞から放出されるさまざまな痛み物質が、侵害受容体と言われる痛みセンサーを刺激することで痛みを感じます。

この初期の急性疼痛は通常は一過性であり、時間と共に炎症も治まり痛みも軽減して治っていきます。ところが、この痛みの体験と同時に怒りや不安・恐怖などのネガティブな強い情動と、それに伴う自律神経系のストレス反応が起こった場合、その心身のストレス反応とセットになったトラウマ記憶として疼痛感覚が脳のデータベースに記録されてしまいます。その結果、慢性疼痛として長期間に渡って痛みが持続することになります。