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社会(交流)神経系(Social engagement system)

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人も含めた哺乳動物は、離れた距離から五感を通じて安全を確かめながら相手に次第に近づくことで社会的な交流を持ち、ストレス状況を早期に解決しておくという生存戦略を取っています。そのために必要な身体の反応は、鼓膜の振動を音に変換する中耳の筋肉、声を出すための声帯、食べ物を飲み込む嚥下や味覚、頭を動かすといった頭頚部の筋肉や感覚器官が主役となります。

これらのコミュニケーションに必要な神経システムが、脳神経の中でも有髄神経である腹側迷走神経、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、副神経であり、ポージェスは「社会(交流)神経系」という新しい概念で説明しています。哺乳類は生まれてから母乳により育てられます。生まれたばかりの子供が母親からの養育を受けるための生存戦略として、この社会(交流)神経系が重要な役割を果たすことになります。

哺乳類は母親の注意を引き母乳を与えてもらいながら、生きていくための他者との関わり方を学習し成長することで、安全で安心できる環境を集団の中に築き上げているのです。人間の場合も同様で、まずは母子関係から始まり、家族、学校、会社と次第に大きな集団に適応していく中で社会(交流)神経系も成長発達していくことになります。そのため幼小児期の生育環境が、その後の人生の心身の健康状態に大きく影響することになるのです。