最終手段の“不動化”という防衛戦略
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ストレス状況下で身を守る闘争・逃走反応は、自律神経系の進化の過程で2番目に発達した交感神経の働きが主役となります。この身体を動かす可動化(Mobilization)で対応できなかった場合、最終手段である不動化(Immobilization)という防御反応を選択することになります。この時の主役は、系統発生的に最も古い無髄の背側迷走神経という自律神経です。この動かなくなる不動化には、身を守るために次の2通りの役割があります。
一つが擬死(死んだふり)と言われる一種の仮死状態になることで、捕食動物から逃れる最後のチャンスを作り出すことです。昆虫や爬虫類でよく見られますが、哺乳類や鳥類でも最終手段としてこの状態になります。もう一つは、最終的に捕食動物に食べられることになった場合、一切の感覚を遮断し気を失った状態になることで、全く苦痛を感じないで最期を迎えることができるようにということです。
捕食動物は本能的に動くものを追いかけようとします。これは腐敗した状態の獲物は食べないため、動いているということで食べても安全であると判断しているからです。そのため、全く動かない状態になることで獲物と認識されず助かる可能性が出てきます。そして、たとえ捕まったとしても抵抗しなければ、捕食動物の自律神経が闘争から休息(お食事モード)に切り替わり、一瞬の油断した隙に逃げ出すこともできるのです。