自律神経失調症
自律神経は内臓の機能やホルモン分泌などのすべての器官を調整する神経です。通常は自律神経を構成する“交感神経”と“副交感神経”という、車でいえばアクセルとブレーキのような役割をする神経がバランスを取ることによって、体の機能を一定に保っています。しかし、ストレスなどの刺激が長時間続くとその2つの神経のバランスが崩れ、自律神経失調症になってしまいます。
■このような症状があらわれます
自律神経は全身の器官をコントロールしているため、自律神経失調症になると頭痛・めまい・不眠・食欲不振など様々な症状があらわれます。
うつ病
うつ病はストレスなどによって“意欲”や“活力”を伝達するセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きが悪くなったことが原因で引き起こされます。また、「心の風邪」と言われるように、誰でもかかる可能性があるものです。
■このような症状があらわれます
憂うつ、落ち込み、興味・関心の低下のような精神面・感情面の症状と、体がだるい、疲れやすい、眠れない、何を食べてもおいしくないなど肉体面にも症状としてあらわれます。
■生活上で注意いただきたい点
うつ病に対する一番の治療は「休養」です。できれば休暇をとるなどして、少しの間心と体を休めてあげましょう。
摂食障害
摂食障害は主に食べることを拒んでしまう『拒食症』と、反対に際限なく食べ続けてしまう『過食症』の2タイプがあります。摂食障害は女性、特に若い女性に多く見られます。摂食障害の原因はムリなダイエットやストレス、また思春期の女性の場合は体重が増えることへ対する恐怖感が摂食障害の引き金になるケースがあります。
■生活上で注意いただきたい点
摂食障害の治療にはカウンセリングや投薬など、病院で行う治療とともに、日頃の生活改善もとても重要なポイントです。この生活改善には家族の協力は欠かせません。規則正しい生活をすることでストレスも減り、健康な体に近づく事ができます。
睡眠障害
睡眠障害には寝ようと思ってもなかなか寝ることが出来ない不眠症や、時と場所を選ばずに強い眠気に襲われる睡眠異常など様々な症状があります。その原因も様々なものがありますが、その中でも心理面や身体面が原因で起こる睡眠障害を内在因性睡眠障害と呼びます。
■このような症状があらわれます
睡眠障害の主な症状は「不眠・過眠」です。ですが、さらにそれを原因として、様々な副次的な症状が起きます。その代表的なものとして情動脱力発作(怒る、大笑いするなどの感情的な行動を起こしたときに全身の力が抜ける)、入眠時に幻覚を見る、金縛りなどの睡眠麻痺、自動症(無意識の状態で体が直前のまでしていた行動を続けてしまう。)などがあげられます。
社会不安障害
他の人から注目を浴びる行動に不安を感じる病気をSAD(社会不安障害)といいます。他人に悪い評価を受けることや、注目を浴びる行動への不安により、強い苦痛を感じたり身体症状が現れ、次第にそうした場面を避けるようになり、日常生活に支障をきたすようになります。若い人が発症することが多いこの病気は、「うつ病」等のさらなる精神疾患の引き金となることもあります。
■このような症状があらわれます
顔が赤くほてる、脈が速くなり、息苦しくなる、手足または全身のふるえ、声のふるえ、吐き気がする、口が渇く、トイレが近くなる、または尿が出なくなる、めまいがする
月経前症候群
月経前症候群は月経の3〜10日前から現れる様々な身体的・精神的症状を総称したものの事を指します。一定の周期で繰り返し起こり、月経が始まるのと同時に症状がなくなるのが特徴です。現れる症状の代表的な症状は以下のようなものです。
■身体的な症状
体重増加、顔や手足のむくみ、乳房の腫れ、おなかの膨れ、頭痛、関節痛、下痢など
■精神的な症状
イライラ、不安、緊張感、攻撃的行動、うつ状態、疲労感,集中力・適応力の低下など
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは下痢や便秘などの便通異常をともなう腹痛や腹部不快感が慢性的に繰り返される病気です。通常の腹痛などとは違い、試験前や大事な会議の最中などによるストレスが原因で起こる症状です。
■このような症状があらわれます
主な症状は腹痛・下痢・便秘などの腹部の異常ですが、副次的な症状として不眠・不安感・抑うつ・頭痛・めまい・吐き気・食欲不振などが起こるケースもあります。
慢性疼痛
慢性疼痛には原因が明確なものとそうでないものの2種類があります。原因が明確な慢性疼痛にはがん、帯状疱疹、緑内障、顎関節症、てんかん発作など様々な原因があります。原因が明確でない慢性疼痛の種類としては、緊張性頭痛、心因性の腰痛、舌の痛みが現れる舌痛症などがあります。慢性疼痛は行動医学的手法により自分自身でコントロールが可能となります。
がんの心理療法
免疫系・内分泌系・神経系はお互いに密接に関係し合っています。
心理療法は精神的なストレスを改善するだけでなく、自律神経系を介して免疫系や内分泌系に影響を与えることで、がんの予防や治療の助けとなります。
トラウマ治療
トラウマとは過去のある体験(交通事故、災害、虐待など)を原因とする重い心の傷のことで、「心的外傷(PTSD)」とも呼ばれます。
その際のつらい気持ちがぶり返し、無力感や罪悪感を感じたり、不眠やうつ状態が引き起こされます。
■このような症状があらわれます
・トラウマ体験のイメージを思い出してしまう、頭に浮かぶ
・トラウマ体験に関する悪夢をみてしまう
・トラウマ体験を想起させるような場所やモノを強く避けてしまう
・寝つきが悪くなり、睡眠が浅くなる
・イライラ感・怒りを感じやすくなる
・集中力が低下する
■トラウマの治療方法
当院ではトラウマ治療としてEMDRという治療法を行っています。EMDRはトラウマ治療に現在最も効果的と言われている治療法です。患者さんの前で指を左右に動かし、患者さんは過去のつらかった出来事を思い浮かべながら、治療者の指を眼で追うという手続きを基本として進めていきます。眼球運動は脳を刺激し、情報処理プロセスを活性化し、心の整理を短時間に進めることに役立ちます。止めたい時はいつでも止められ、自分のペースで進めることができます。