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昆虫や爬虫類は擬死(死んだふり)で身を守る

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哺乳類では生存戦略の最終手段となる不動化戦略は、昆虫や爬虫類では主役となります。例えばてんとう虫やバッタなどに触れると、固まってしまい全く動かなくなります。これは、昆虫の主な捕食者であるカエル、トカゲ、クモなどは動くものしか攻撃しないため、不動化戦略が昆虫にとっては最善の防御手段となるのです。擬死の持続時間は通常数分から数十分ですが甲虫類の場合は数時間に及ぶこともあるそうです。

トカゲなどの爬虫類も、身に危険を感じるとじっとして動かなくなり背景に溶け込んでしまいます。元々酸素消費量が哺乳動物に比べて非常に少ないため、無呼吸状態でも代謝を落とした仮死状態になることで数時間は生命活動を維持することができるのです。爬虫類の迷走神経は無髄の太古の迷走神経で、「不動」「徐脈」「無呼吸」という極端にエネルギー消費を抑えた状態にすることで捕食される危険から身を守ってきたのです。

系統発生学的に、爬虫類と違って哺乳類は2つの迷走神経回路を持っています。爬虫類と同じ無髄の迷走神経と、進化の過程で有髄化されている哺乳類特有の神経回路です。哺乳類における無髄の迷走神経は、安全な環境下では内臓の働きを制御し恒常性を維持するという、一般的な副交感神経としての働きをしています。しかし、この神経系が防衛反応として使われたときには、哺乳類でも「不動」「徐脈」「無呼吸」状態になり、代謝を落としたシャットダウンシステムが働き完全に脱力して崩れ落ちたようになってしまうのです。